Yet Another Brittys Wake

the wonderful widow of eighteen springs

逝く者は

自分が乗った列車が廃止されるのは寂しい。夜行であればまして寂しい。

Twitterで #乗ったことのある夜行列車 というのをみて書き出そうとしてみたが無論130字では収まらなかった。そして日本の鉄道網の趨勢を反映して、そのほとんどはすでに廃止された列車であった。ハッシュタグを覗くと、他の人も事情は同じなのだろう、それはなにか列車の過去帳めいてみえた。

死んだ夫には各駅で行く長時間の旅よりは新幹線の味気ない快適さを好む惰弱さがあって、なので一緒にいたときには座席夜行の旅をしたことがない。とはいえ基本は辛抱強くこちらの趣味に付き合ってくれるところがあって、なので彼がおのずからは思いつかないような長距離列車の旅にも、ことに海外では同行してくれた。そして昼間はなるべく観光旅行したく、もともとが夜行が好きな私が立案するからには、汽車の移動は多く夜行列車の旅となった。

日本ではだいぶ減った夜行列車はまだ欧米では盛んに運行されているが、それでも不採算路線の整理はこまめに行われているようで、ふと気になって調べてみると、彼と最初に乗った夜行列車、ドイツ鉄道とオーストリア鉄道が共同運航する City Night Line の Semper 号(ドレスデン―ウィーン)はだいぶん前に廃止されていた。

自分が乗った夜行が消えるのは寂しい。人と乗った夜行列車が消えるのは、まして寂しい。