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Yet Another Brittys Wake

the wonderful widow of eighteen springs

ダニーがんがった

承前

この手(引用者注、第95手☗2三歩)を見て羽生が頭を下げた。☖1二玉☗1三歩☖同玉☗2四金☖1二玉☗2二歩成☖同玉☗2三馬☖2一玉☗2二歩以下、歩の数が足りてぴったりの詰み。羽生は額に手を当て、じっとうつむいている。やがて糸谷が何か羽生に話しかけた。関係者が対局室へなだれ込む。主催紙によるインタビューが始まった。
終局時刻は21時26分。消費時間は☗糸谷4時間14分、☖羽生4時間44分。勝った糸谷は挑戦者決定三番勝負を制し竜王挑戦を決めた。規定により同時に七段昇段を果たした*1。七番勝負第1局は10月16・17日(木・金)、アメリカ・ハワイ州「ハレクラニ」で行われる。

2014年9月8日 挑戦者決定三番勝負 第3局 羽生善治名人 対 糸谷哲郎六段|第27期竜王戦

糸谷先生、竜王戦挑戦おめでとうございます。森先生が短い言葉ながらとても嬉しそうでみているこちらも嬉しくなる。いやあ、朝から進行も速く、序盤で早々に飛車交換するよな激しい将棋で息を詰めるようにみていたのですが、それで疲れてしまって夕食がてら他出したところその間に終局してしまったのは不覚。あんまり気をいれて見ていたので、解説会が大阪であることすら忘れていたという。

森内俊之竜王はこの間の春まで名人でもあった方で実力者ですが、ご当人があるインタビューでおっしゃるには「わたしは誰とやっても五分なので」、だからダニーにも勝機はある……と思うんだけど……それはおいて、森内さんの将棋も(藤井先生や糸谷先生ほどではないのですが)わたくし好きなのです。藤井先生の将棋を並べていると水遊びをするような悦びがあり、いっぽう森内先生の将棋を並べていると寿命が延びる感じがします。とても落ち着いていてそして楽しい気分が静かに涌いてくるのです。森内対糸谷戦は、だからとても楽しみですね。瞬きもできない場所に連れていってくれた対羽生挑決三番勝負のあとに、糸谷森内両棋士はどんな世界をみせてくれるのだろうか。

竜王戦は七番勝負なので先に4勝したほうの勝ち。基本的にはわたくし世代が近いほうの方を応援することが多いのですが、今回はね。今回は迷うことなく糸谷応援です。こういうのは理屈じゃないんだなあ。とつくづく思います。サルトルじゃないけど問いをたてるときひとはその答えをすでに知っている。選択というのはそういうもの。

 

なお大学院生のタイトル挑戦は初だそうです。阪大生の挑戦も初ですね。ていうかダニー以外に阪大生の将棋指しって過去を含めていないわけだが……三段リーグに阪大生がひとりいるので、今後増える可能性はあります。いまだプロではないかたなので名前は出しませんが、彼にもがんばってもらいたい。はよプロになって巨大生物を飼うという夢をかなえてほしいと思います。

糸谷新七段は大学院は去年から休学してるそうなのですが、するとM2になったところで休学していまは2年目ですね*2。阪大の博士前期課程は休学期間も含め4年間在学できるので、残るのはあと1年余ですか。ひょっとしてひょっとかして、竜王になってしまうとたいそう多忙になり、大学に戻ってくるのはさらに難しくなるだろうから、それがちょっともったいない気はします。ちょっと、であって、すごくではない*3。そもそも阪大文学部はわたしが知っている限り「えー仕事やめて大学にもどる?馬鹿なこと云うんじゃない。せっかく就職したのにもったいないとおもわないのか。大学にはいつでも遊びにきたらいいだろ?どうして仕事やめなきゃいけないんだ?研究はしたらいい……誰も君が研究するのを止めてないだろ、研究は大学にいなくても出来る」みたいな先生の巣窟なので、院生糸谷君を是が非でもひきとめようというような人はいないような気がする。

*1:引用者注:公式プレスリリース

*2:MとってD1で休学した可能性もあるのか、と更新してから気がつきました。修士号取ったかどうかは待兼山論叢みればわかることですがめんどいのでパス。当該号をどこにおいたかわからないという。

*3:制度上、博士前期課程を中退してしまうと修士論文は提出できません。修士号もだから取れない。でもいったん書いたことを論文としてどこかに投稿することとそれは別義です。

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