Yet Another Brittys Wake

the wonderful widow of eighteen springs

フェアプレイ

あるブログのコメント欄にこんなことを書いた。

ボードゲームのデザインをされている知人が、ご夫婦ともゲーマーの方をお迎えして多人数ゲームの卓を囲むのは実はしんどいと語ってくれたことを思い出しま した。紳士淑女であるほど相方に対してとりわけ辛い手の応酬となり、他のプレイヤーがいたたまれない思いをするほどだそうです……。

その方は公平にプレイしようとするとかえって手が辛くなる、という風に捉えておられたが、うんそういう面もありますが、それだけではない。ちょっと違う。少なくともわたくしの場合はそうだった。

もう少し正確にその方の発言を再現すると、夫婦の場合、お互いに結託するか、公平に振舞おうとするかどちらかに分かれるのだが、練達のゲーマーであるカップルは公平に振舞おうとすることが多い、そしてそのような紳士淑女はかえって相方に手が辛くなる。将棋でいうところの友達をなくす手ですな。だが夫婦は友達ではないからのう。さて、ここで鍵となるのは公平さである。わたくしどもが紳士淑女だといっているのではないですよ、ただボードゲームというもの、他にも遊び仲間がいる。その方々がどう捉えるか、気分を悪くされるのではないか、ということもちらと脳裏に走る。つまり、相方に対してあまりに辛い手を指して、前の日夫婦喧嘩でもしたのではないか、と思われるのも叶わない。それで緩すぎもせず辛すぎもせず、ぴったり最適手を捜そうという意識が常以上に強くなる。そんなこと考えずにいつものように最適手を淡々と探せばいいようなものだが、ご見物を考えてしまうのですね。この時点で平常心ではなくなっているのだが、卓を囲んでいる最中にはそのことには気が付かない。

さてそこでゲームの終盤、奴がトップを走っていて、わたくし自身は四番手くらい、そういう状況と思いねえ。そこで手番がわたくしに回ってきたのだが、ちょうど手持ちの札がトップを直撃できる程度、そこで戦力をありったけつぎ込んで奴をトップからひきずり下ろした、結局誰が勝ったかは覚えていないが、そこで奴が怒ったんですね。激高した。わたくしが奴を引きずりおろすためだけに行動した、といった。そのときはゲーム合宿で何人かでほぼその宿を貸切状態だったのですが、食堂で二人で夕食を採っている間ずっとそのことをいっていた(賢明なみなさまはゲーム直後から我々の間に流れる不穏な空気に気づいてか近寄ろうとしなかった)。曰く「君がそんなにゲームを知らない人だとは思わなかった」。

奴がわたくしの機動をどう解釈しようが知ったことではないのですが(それこそ君がゲームをそんなに知らない人だとは思わなかった)、これにはわたくしもカチンときました。わたくしだってゲーマーのはしくれですからね。そこで独走状態のトップを狙い撃ちするのは多人数ゲームの基本であり、自分の点をたんに上積みするより全員の持ち点を均等化し上位と中下位の差を一定に保つのは中位プレイヤーとして可能な戦略のひとつである、それが分からないとは情けない、君こそゲームを知らない人なんじゃないのかみたいに、まあ倍返しですよね倍返し。そこで悔しそうに奴が唇をぎゅっと噛んだ顔はみものでしたよ。「わかったよ、取り消す」かなんかかろうじていいましたが、彼は自分から絶対謝らないのね。だからごめんとはいいませんでした。それは覚えてるんだ。

その晩ですか?暖かくして屋上にふたり寝転んでプレアデスを見ましたよ。冬の星をみてゲームをする合宿だったのです。コンクリートの床が冷たかったなあ。

 

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