Yet Another Brittys Wake

the wonderful widow of eighteen springs

即効英単語

 

先日、買ってみた英単語増強本が案外によかったのでみなさまにもご紹介したい。

 

Instant Word Power (Signet)

Instant Word Power (Signet)

 

 

USD7.99 なので街の本屋で買っても千円はしないだろう。わたくしは Amazon で買いました。結構待たされたのはベストセラーだからか、消費税増税まえで駆け込み購入が多かったからなのかはわからない。なんでこの本を買ったかというと、それは消費税増税まえだったからです、ってそれは時期の説明でしかないか。

さいきん英語を読む機会が減っているせいか、はたまた老化のせいか、英語をよむのが微妙にきつくなっていることをこの半年くらい折々に感じるようになった。読むスピードがおちて、いままで声にださなくてもそのまますっすっと頭に入ってきた文章が脳裏に音をイメージしなければつらくなってきた。それでなにかしないといけないなあとおもっていたところに消費税増税、で買うなら三月中だよねえ、とおもっていたところに 英検1級前後レベルの単語帳7冊と順序(素案) - 読書猫 を拝見した。3月30日のエントリなのでわたくしもたいがい泥縄ですね。ちなみにこちらのエントリでは

 

1100 Words You Need to Know

1100 Words You Need to Know

 

 も紹介されていて、これはいいものだ。だが版形が大きいのであんまり持ち歩くのに適さないのが困りもの。机において書き書きするタイプのドリルなんですね。Instant Word Power(以下 IWP)のほうはよくあるペーパーバックサイズなのでかばんにすとっと入る。風呂で読むのにいいサイズなのだ。紙もざらっとしたいかにも作りの安い本で、がんがん読み潰し書き潰すのに向いている。

そう、どちらも中にじゃんじゃん書き込んでいくタイプの本である。問題があって解答欄があってそこにガジガジと書き込んでいく。ほげほげという意味―(空欄)というタイプの問題と、例文のなかに空欄があってそこに適切な単語を埋めるタイプの問題が混在している。どちらも文章のなかで単語や熟語を覚えていく態度は一貫している。ただしいメソッドですね。わたくしは本に書き込みするのには鉛筆が好きなので、ひさびさにBの鉛筆を何本か買った。上質紙の 1100 ... のほうはともかく、IWP は紙が粗いのでシャープペンシルだとずぼっと孔があきそうで怖い。ともあれ鉛筆削りで芯をくるくると尖らせていると、なんだか勉強するんだという気がたかまってきますね。あれは不思議。なお IWS のほうは解答欄が狭かったら別紙を用意して書けと注釈がついていた。版形が小さいのと、紙が粗いのとで、大きい字で筆圧も強くわしわしと書きたい方はそのほうがいいかもしれない。こういう教則本のたぐいは潰して潰してなんぼという気がしますけれども。

上記エントリで id:koshka-j さんはちょっと脅しすぎなんじゃないかという気もするが、学部生なのでというのもあるのだろうか。少なくとも管見の限りでは 1100 ... は1ページに二三知らない単語があるものの説明の文章が読めないというほど難しくなかった。IWP のほうはおっしゃるとおり、これをやったから語彙力が劇的に向上するという感じはもっていない。1回がだいたい30分ですむレッスンが合計38課あるうちには、下手すると一課に知らない単語がまるまる出てこないこともありえて、出てきたとしても、いやぁその単語いままでみたこともないしこれから先も使わんよな……てな難読語だったりで (sesquicentenial*1 なんて使います?市制百五十年周年記念とか?まあ合衆国ではそれはたいしたことなのかもしれないが……)、語源考察をベースにユーモアの利いた例文を重ねるつくりにすいすい読めるものの、どこまで英語力の向上に役立っているかは疑問である、とおもっていた。

そう、疑問である、そうおもっていた。つい先日までは。

ある英文記事(たぶん Financial Times の文化欄)をある日つれづれに読んでいると、ある単語が光ってみえた。impediment だったか impede だかそれは忘れたが、とにかく文章のなかでそこだけ浮き出てみえた。Instant Word Power で最近習った単語である。この単語自体はそれほど難しい単語でなく、だから初めてみたというのでもなかったのだろうが、自分はすっかり忘れていた。それでどうやら、物覚えが悪くなり、それもある単語を知らなかった経験をしたということ自体を忘れるくらいに悪くなっていたらしい。IWPで「この単語みたことないなあ」と思った単語が、実はしょっちゅうみるけどたんにそのたびに忘れていた可能性もあることに、そこではじめて思い至った。これはちょっと慄然としますですね。老化か、これが老化か。

IWP では同じ単語がなんどもなんども登場するのだが、その分脳にすりこむ効果は絶大だということなのだろう*2。自分のように初老にさしかかり物覚えが悪くなってきたものには、新しい語彙を増やすというだけでなく、基本的な語彙の再定着を図る意味でも、IWP のメソッドでの語彙強化は意味があるかとおもった次第。まして若い方には効果は絶大だろう。単語力増強の必要性を感じる方にはぜひおすすめしたい。

*1:誤字。正しくは-ennial。スペルチェックをサボるとこういうことになります。

*2:なお繰り返しの効果は 1100 ... でも使われているが、IWP ほどしつこくない。